2011年7月1日金曜日

余談

 今日は少し余談です。以前、セラミックターボチャージャーの話をしました。セミックスの利点は、比重が低く、耐熱性が高いということです。このためセラミックターボにはもってこいの材料だったのです。

 しかし、セラミックスには金属のような延性が無いので、万が一、変な力が加わると、変形することなく、ばらばらに破壊してしまいます。

 また、セラミックスはコストが高く、金属の中では高価な部類の耐熱合金よりも桁違いに高かったようです。

 このようなセラミック材料をエンジンバルブに適用しようとした試みがあったことを御存知でしょうか?

 試験したのは、メルセデスベンツで、ドイツの国家プロジェクトの一環として実際にセミックバルブを実車に搭載してフィールド試験も実施しました。

 セラミックターボは破損しても、破片はエンジンの排気とともに車外に放出されますが、エンジンバルブは破損すると、エンジン内部に入って、エンジンをロックさせる危険性があります。

 最悪の場合、アウトバーンで200km/hの速度で走行中にエンジンバルブが破損して、エンジンがロックすれば、多くの場合、タイヤもロックして、車は制御不能となり、死亡事故につながる危険性もあります。

 実際の試験では、大きな問題はなかったようですが、国家プロジェクトの終了とともに、セラミックエンジンバルブの実用化試験は消えていったようです。

 比重の小さいセラミックをエンジンバルブに適用できれば、エンジンの応答性が上がり、性能が上がるとともに、燃費の向上も期待できます。また、NOxの低減にも貢献できる可能性があります。

 それでも実用化されないということは、コストの問題が相当大きかったのだと思います。また、チャレンジする企業は現れないでしょうか?

0 件のコメント:

コメントを投稿