先日トヨタがSiC半導体を使用したHV用パワーデバイスを開発した記事を紹介しました。
この記事をみて、SiCの単結晶はどのようにして製造するのか、少し興味が湧きました。
従来のSiであれば、Siの融液表面にSi種結晶を浸し、温度制御しながら種結晶を引き上げていくと、種結晶の結晶方位に揃ってSi結晶が成長していきます。
いわゆるエピタキシャル成長を利用した引き上げ法、あるいはチョクラルスキー法と呼ばれる単結晶の製造方法です。
一方SiCは融点が約2700℃と高温であるため、融液を利用した引き上げ方は使用できないと思います。
また、私の記憶に間違いが無ければ、SiCは高温で昇華してしまうと思います。
その他の製造方法として普通に考えれば、気相法が考えられます。
Siを含むガスとCを含むガスを反応させ基板に蒸着させる方法などです。
しかし、この気相法ではできたSiCの欠陥密度が高く、半導体として使用するには困難かと思います。
また、気相法としては昇華再結晶法と呼ばれる方法もあります。
同様に欠陥密度が問題のようです。
気相法以外には溶液法と呼ばれる引き上げ方があるようです。
Siの融液をC坩堝に入れ、SiとCを反応させながら、SiC単結晶を成長させる方法のようです。
ネットで調べていたら、トヨタがこの方法で特許を出していました。
トヨタではこの方法で製造しているのかもしれません。
この方法ではSiC単結晶が成長していく過程で不純物を巻き込む問題があるようです。
いわゆるインクルージョン(介在物)と呼ばれる欠陥です。
半導体として使用する場合、不純物は致命的です。
私が見た特許はインクルージョンを低減する方法が書かれていました。
興味本位でざっと調べただけなので詳細は分かりませんでしたが、なんとなく製造方法が理解できました。
今後実用化するためには、様々な課題を解決するとともに、量産技術の確立が必須です。
試験レベルでできても量産レベルで安定して製造できなければ実用化できません。
今後の動向に注目です。
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2014年5月27日火曜日
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